IVR 日本支部



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Japanese Section of IVR
( Internationale Vereiningung für Rechts- und Sozialphilosophie )
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 支部長挨拶


IVR日本支部 支部長 足立英彦

 私の所属大学の化学の先生から聞いた話です。その分野で著名なご高齢のある先生は、国際学会で、英語の原稿を読み上げる形で報告をされ、会場からの質問に対しては「ふむふむ、あなたは正しい・・・」程度の答えで済まされるそうです。それでもその先生の研究は「ここまでするのか!」と思われるぐらい膨大な量の実験に裏付けられており、誰にも真似ができないものであるため、海外でも高く評価されているそうです。私は、「英語力の低さは本質的な問題ではない」という、この話をしてくれた私の同僚の意見に共感しました。

 1990年よりIVR日本支部は海外の著名な法哲学者を日本に招いて講演をしていただく神戸レクチャーを開催してきました。その後、日本の研究者と海外の研究者の交流をさらに促進するために、2018年より日本支部主催の国際会議を定期的に開催し、神戸レクチャーはその中の基調講演として位置づけ直すことにしました。パンデミック下でも交流を続けるために、2020年11月にはオンラインでの国際ワークショップを開催しました。そして2023年9月16-18日には千葉大学で第二回目の国際会議を開催することになっています。

 これらの会議で使用する言語は英語ですので、日本語母語話者は報告準備に時間がかかり、当日の発表でも大変な苦労をします。しかし、日本の法哲学は、1948年の日本法哲学会創設から数えれば今年で75年の歴史があり、その間の蓄積は決して海外に引けを取らないと思います。これらの蓄積をふまえつつ、私たちはもっと積極的に海外に研究成果を発信すべきです。英語力の向上は引き続き私たちの課題ですが、前述のように、それは本質的な問題ではありません。しかも英語を書くことについては、近年の自動翻訳の飛躍的な発展により、かなりの時間と労力を省けるようになりました。皆さまの挑戦を、日本支部運営委員一同、強く応援していきたいと思います。

2023年5月1日